こんばんは。弁護士の宮本です。
毎度のことですが,深夜に更新です。
今日も少し話題の事件についてお話したいと思います。今回は珍しく刑事事件です。
日産の代表取締役が金融商品取引法違反や会社法違反(特別背任)で逮捕・勾留されていることは連日報道されていますが,今回,社長が起訴されたことを受け,弁護側が保釈を請求したようです。もっとも,この保釈請求は東京地裁で却下されているようです。
まず,逮捕された後,多くの事件で被疑者は勾留されるのですが,これは一般に「起訴前勾留」と言われます。
この起訴前勾留は,勾留という身柄確保をして,被疑者について起訴をするか,不起訴にするのかを判断する捜査をするための期間,と言われています。
ですので,起訴前勾留の期間は原則10日(刑事事件訴訟法208条1項)で,最大でも20日(刑事事件訴訟法208条2項)になります(実際には多くの事件で最大限身柄は拘束されたりするのですが…)。
そして,事件について一定の捜査をし,「これは起訴をすべきだ」ということになると,被疑者について「起訴」をすることとなります。ここから,被疑者の呼び方は「被告人」になります。
ところが,起訴した後も逃げられては困りますので,裁判まで身柄を確保することになります。これが「起訴後勾留」です。
起訴後勾留は起訴日から2か月(刑事事件訴訟法60条2項)で,1か月ごとに更新します。
もう一つ,起訴後勾留になると「保釈」の請求が可能になります。
保釈とは,保釈保証金を収めて,身柄を解放する手続です。有り体に言えば,「身柄解放にあたってお金は預かる。逃げたりしたらお金没収するから,逃げないでね。」という制度です。
つまり,保釈保証金はその人にとって「取られては困るお金」でなくてはなりませんので,人によって金額はまちまちです。総じて,資産があったり,収入が高い人は高額になる傾向があります。
ライブドア事件で堀江貴文氏の保釈保証金は3億円でしたし,村上ファンド事件で村上世彰氏の保釈保証金は5億円でした。ちなみにこの社長と一緒に逮捕された方はすでに保釈されているのですが,保釈保証金は7000万円だったようです。
今回,裁判所は「罪証隠滅のおそれがある」ということで保釈を認めませんでしたが,なかなか否認事件(容疑を認めていない事件)では保釈が通りにくいのはそのとおりと思います。
裁判があり,証拠が取り調べられると,もう隠滅などの虞がない,として保釈が認められたりもします。
ここらへんが「人質司法」として批判されたりする要因なのかもしれませんね。
少し固い話でしたが,ヴィヴィアン・リーに免じてご海容ください。
それでは。
宮本