こんばんは。弁護士の宮本です。
昨日,今日と出張に行っていました。夏の移動は暑さとの戦いですね。
さて,本日13日から改正刑法が施行されることとなりました。
刑法の改正は実に110年ぶりのことです。
今回改正のトピックとしては,
・ 強姦罪の客体を「女子)から「者」にして男性も含むこととした
・ 強姦の定義を見直し,「強制性交等」にした
・ 「監護者性交等」の類型を追加した
・ 告訴がなくても起訴ができるように(非親告罪)した
があげられます。性暴力の被害の大きさに鑑み,厳罰化の方向を向いているのは間違いありません。法定刑も上がってますね
他方で,以前から懸案であった「暴行・脅迫」を手段とする,という要件は残されました。処罰範囲に一定の限定を図ったものと思われます。
とは言え,こと性犯罪に関しては,何が暴行で何が脅迫なのかがわかりにくい事があります。この点は改正法の付帯決議の3でも言及されています。
また,同じように,性犯罪における「合意」と言うのも非常に不明確です。
無論,合意のもと(それが真意であることが前提ですが)での性交渉であれば,罪になることはありません。
しかし,どの時点で合意があったのかは非常に不明確ですし,拒否したとしても「嫌よ嫌よも好きのうち」のような考えを持ってしまうこともあります。
例えば,一人で自宅に遊びに来たことは性交渉に対する合意と捉えられるのでしょうか。
二人で食事することをOKしたら合意なんでしょうか。
この点については,2015年にイギリスの警察が作成した動画が非常に参考になります。
これは転載で日本語訳もついていますが,明確な合意の重要性をわかりやすく説明していると思います。
先日性暴力の被害者に対し,「本当に嫌なら逃げられるのではないか」と言ったネットで取り上げられていましたが,この問題(性暴力被害)についてはある種社会意識みたいなところがまだ根強いのではないか,と思っています。
この改正を機に,少しずつ変わっていけるようにしたいものですね。
それでは。