こんばんは。弁護士の宮本です。
さて、昨日東京医大の裁判のうち、先行していた消費者機構日本が原告となった裁判の判決がありました。
内容としては、主位的(一番優先する、という意味です)請求である、受験料の返還義務を認めた判決でした。
他方で、受験に伴う交通費や宿泊費についての返還義務は否定しました。
私の所属する弁護団の事件にも大きく影響するのではないかと思っています。
この判決に対する感想を少し。
というより、私はこれは当然のことだと思うのですが、女性の受験生のみ得点調整をすることが、憲法14条1項や大学設置基準2の2の趣旨に反し、全受験生との関係で違法である疑いが極めて強い、としています。
きちんと憲法14条を引いて、この得点調整を行うことが、憲法に違反するものである、ということを指摘していることは非常に重要です。
また、出願者が試験が平等原則を尊重しており、試験自体が多様性に配慮し、公正かつ妥当な方法で行われることを期待していること、そしてこの期待は法的に保護されるとしています。これも当然ですよね。自分が試験で出した結果は、公正かつ妥当に採点されると思うから、皆必死に受験に取り組むのだと思います。
そして判決はこのような性別による調整があることが分かれば、そもそも受験の選択肢から外すことが合理的としています。
努力は報われる。そんなことばかりではないことは十分に知っているつもりです。
ただ、努力が報われない仕組みになっている世界ほど、残酷なものはないと思っています。
ですので、高い志を持って努力しようとする子どもたちがこの社会に絶望しないようにしたいと思っています。
昨日から移動があったり司会をしたりと少し体を酷使したのですが、これくらいは書く余力が残っていました。
春も近い今日この頃です。
それでは。
宮本