こんばんは。弁護士の宮本です。
今日も少し法律の話です。
先日,福岡高裁で出たストーカー規制法に関する上告を,最高裁が棄却しました。
これだけだと「なんのこっちゃ」ということになりますので,少し解説しますと,「GPSを利用した位置情報の把握などが,ストーカー規制法に言う『見張り』に該当する」としたものです。
ストーカー規制法はつきまとい行為を罰しているのですが,その典型例として『見張り』をする行為をつきまとい行為としています(ストーカー規制法2条1項1号)。
GPSを使って人の位置情報を把握することが,この『見張り』に当たるのか争われたのがこの事件で,結論として高等裁判所は『当たる』としています。
語感から言って『見張り』と言うと目で見ているようなことを想定しますし,現に同じような事件で弁護人は「機器を用いた監視行為は『見張り』に当たらない。」と主張しています。
無論,行為の態様からすれば,GPSを使った動静の把握は見張りに該当すると思いますし,判断は妥当なものですね。
携帯電話などはGPSがありますので,あとは目的など(ストーカー規制法の処罰対象は「好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」ということで限定をかけています)で制限をかけていく方向になるのでしょうね。
なんにしても,非常に興味深い分野です。
さて,今週は水曜から人権大会で青森に行かねばなりません。
天気が気になるところではありますが,台風の動静を監視しても,「見張り」には該当しないですよね。好意は寄せてないので。
それでは。
宮本