こんばんは。深夜の更新で失礼いたします。弁護士の宮本です。
本日は南三陸に行ってまいりました。行くたびに道が変わるので,風来のシレンもびっくりですね。
さて,今日も裁判例を一つご紹介します。非常に有名なものなので,テレビ報道でご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まず事件記号が特殊。最高裁判所平成30年(分)第1号です。前にご紹介したとおり,事件記号の最後の数字は今年に入って何件目かというもので,お気づきのとおり今年初。
といいますか,最高裁の事件としては平成13年以来みたいですね。漏れていたらすみません。
(分)で表される事件は裁判官の分限裁判です。分限裁判は,法律を学んだことのある方には,「寺西判事補事件」で聞き覚えのあるものかもしれません。ちなみに寺西判事補は事件当時仙台地裁の所属です。本件では,東京高等裁判所の岡口基一判事がツイッターで不適切なつぶやきをしたとして,戒告の処分うけたものです。
岡口判事は以前から著名な方でして,我々法曹が愛用する「要件事実マニュアル」という本(今では全5巻)の著者です。また,ツイッターを開設し,頻繁につぶやきを投稿する方としても有名です。
本件では,岡口判事が裁判の内容についてツイートしたことが裁判所法49条の「品位を辱める行状」に当たるとされました。裁判の全文は公開されていますので,ぜひ見てみてください。
もっとも,事件を担当した裁判官ならいざ知らず,いくら裁判官だからといって,自分の担当していない裁判に関する感想を書いたら,「裁判の公正中立を害する」とされては溜まったものではないと思っています。
いみじくも補足意見では裁判官の表現の自由についても触れていますが,最終的には「節度あるいは限度」という有り体に言えば自重しろという感じでまとめており,表現の自由に関する曖昧な制約にしかなっていない気がします。
SNSなどによって誰もが受信者だけではなく発信者になれるようになり,多様な意見が出てくる反面,発信に関しては過度に不寛容な流れになっているような気がしています。
言いたいことも言えないこんな世の中,ってことで。
お後がよろしいようで。
宮本
こんばんは。弁護士の宮本です。
人権大会も終了し,仙台に戻ってきました。
帰ってきてもう暫く経つのですが,その間にいろいろ有りまして先週はラジオにも出演してまいりました。
Radikoのタイムフリー機能が切れるタイミングでお知らせするあたり,恥ずかしさが全面に出ているということでお許しください。
さて,昨日は大変なニュースが有りました。
弁護士が犯人隠避で逮捕されたとのことのようです。正確には,「犯人隠避教唆」ですので,「犯人を匿うように供述する」ことを教唆した,ということになりますでしょうか。
報道でしか内容を把握していませんが,無免許運転で事故を起こした人(A)に,「無免許であることを知りながら」車を貸した人(B)がいて,このBに罪を逃れさせるために,Aに対して「Bから借りたのではなく,勝手に乗った」と供述させたようです。
前提として,無免許であることを知りながら,無免許の人に車を貸した場合,無免許運転幇助として刑罰の対象になります(道路交通法117条の2の2第2号)。
今回,BはAが無免許であること知りながら車を貸したようで,本来は上記刑罰に問われることとなります。
これを回避するために,Aが勝手に乗った,というように証言させた,ということなんでしょうかね。
刑事弁護をする場合,いつもこのような危険(犯人隠避や証拠隠滅など)はありますので,気をつけながらしていく必要があります。
本件は,刑事弁護としてのAの依頼に基づくものではなく,Bの依頼に基づいて行動していたのがミソなのかな,とも思いました。
さて,タイトルはズールー語で「戦士」を意味する単語です。
Civ5では長槍の代替でめちゃめちゃ強かった気がするのですが,ほとんど誰も知らない,という点では滑った感じが否めないですね。
それでは。
こんばんは。弁護士の宮本です。
日弁連には大きなイベントが2つありまして,「定期総会」と「人権大会」がそれに当たります。
今日はそのうちの1つ「人権大会」で青森に来ています。
今回の人権大会は青森で開催されており,今日が3分科会があるシンポジウムが,明日が人権大会本番です。
今日は宣言案にも関わりましたので,第3分科会のシンポジウムに出席してました。
「若者の貧困」がテーマですが,非常に興味深い議論でした。
午前中は八甲田大岳にも登ってきたので,充実した一日でした。

明日も楽しみです。
こんばんは。弁護士の宮本です。
今日も少し法律の話です。
先日,福岡高裁で出たストーカー規制法に関する上告を,最高裁が棄却しました。
これだけだと「なんのこっちゃ」ということになりますので,少し解説しますと,「GPSを利用した位置情報の把握などが,ストーカー規制法に言う『見張り』に該当する」としたものです。
ストーカー規制法はつきまとい行為を罰しているのですが,その典型例として『見張り』をする行為をつきまとい行為としています(ストーカー規制法2条1項1号)。
GPSを使って人の位置情報を把握することが,この『見張り』に当たるのか争われたのがこの事件で,結論として高等裁判所は『当たる』としています。
語感から言って『見張り』と言うと目で見ているようなことを想定しますし,現に同じような事件で弁護人は「機器を用いた監視行為は『見張り』に当たらない。」と主張しています。
無論,行為の態様からすれば,GPSを使った動静の把握は見張りに該当すると思いますし,判断は妥当なものですね。
携帯電話などはGPSがありますので,あとは目的など(ストーカー規制法の処罰対象は「好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」ということで限定をかけています)で制限をかけていく方向になるのでしょうね。
なんにしても,非常に興味深い分野です。
さて,今週は水曜から人権大会で青森に行かねばなりません。
天気が気になるところではありますが,台風の動静を監視しても,「見張り」には該当しないですよね。好意は寄せてないので。
それでは。
宮本