Under Control

こんばんは。弁護士の宮本です。

毎度言っているような気がしますが,更新がご無沙汰になってしまいました。

このところ,興味深い判例が出ていますので,少しご紹介したいと思います。

今日は,【最二小判平成28年7月8日(平26(行ヒ)494号)】です。

簡単に言うと,会社の歓送迎会の帰り道で事故にあった場合,労災の対象となるか,と言う話です。

ご存知のとおり,業務の中で怪我を負ったり亡くなってしまった場合には,「労働者災害補償保険法」という法律で補償が受けられることになっています。

本件は,会社の飲み会の帰り道(本来的意味での帰り道ではありません。本件は通勤災害ではないこともポイントです。)で事故に遭った場合,「労災」になるか,という点が争われました。

結論として,最高裁は「本件の事実関係の下では」事故は労災だとしました。

労災になるためには様々な要件があるのですが,その一つに,業務中に起こった事故である,ということ挙げられます。

この「業務中に起こった事故」ということはどうやって判別するか,というと,以前の判例では,「労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にある状態において当該災害が発生したことが必要」としていました。

基本的に,本件でもこの枠組は維持しています。

その上で,最高裁は次のような事実関係を認めた上で,本件では「業務中に起こった事故である」としました。

例えば,

①上司から飲み会に誘われ,資料の作成を理由に一度断ったにも関わらず,参加を強く求められた

②資料作成の期限は伸ばされていないから,飲み会に参加した後,業務に戻ることを余儀なくされていた

③社内の親睦を図るために開催されており,ほぼ全員が参加していた

④飲み会の費用が,会社の福利厚生費から支出されていた

のような事情です。

このような事情のもとでは,飲み会は「本件会社の事業活動に密接に関連して行われた」ものであって,飲み会に参加し,従業員を送って会社に戻る行動は,会社から要請されたもの,つまり,会社の支配下にあったとしました。

とても雑駁に書きましたが,最高裁の判断はこのような流れです。

ただ,ニュースなどでは「飲み会も会社の業務と判断」などと言われていますが,それは少し外れていると思います。

本件も,従来の判断枠組みを崩したわけではなく,単に今回の飲み会は少し特殊だったため,飲み会とは言っても業務中と認められた,と考えたほうが良さそうです。

事例としては非常に興味深いものでしたので,ご紹介してみました。

それでは。

 

宮本

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