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師走

こんばんわ。

弁護士の宮本です。

先日色々判例が出ておりますので,少しずつご紹介したいと思います。

本日は,近時結構話題になっている子の引渡しに関する判例です。

今回の事件は最三小判平成29年12月5日(事件番号平成29(許)17)です。最高裁のHPで紹介されていますので,興味のある方はぜひご覧ください

この事件ですが,内容としては「父が法律上監護権を有しない母に対し親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求めることが権利の濫用に当たるとされた事例」というものです。

まず,母が子とともに父と別居,母と父が,子の親権者を父と定めて協議離婚,母が親権者変更の申し立て,その後に本件の子の引渡し仮処分命令申立てをしたもののようです。

ポイントとしては,本件は親権に基づく妨害排除請求権を被保全権利とし て,民事保全法上の保全をしているようなんですよね。

本来子の引渡しの仮処分をする場合には,家事事件手続法上の「子の監護に関する処分(別表第2の3)」を本案として,審判前の保全処分(家事事件手続法105条)をするのが通常な気がします。今回はそうではなく,親権に基づく妨害排除請求をするというのは,かなり突飛な印象がしますね。

実際の事件としても,「合理的な理由はうかがわれず…長男の引渡しを求めることは,権利の濫用に当たるというべきである。」として申立てが却下されてます。

他方で子の監護に関する処分として行った場合にはどうか,というのはあるでしょうが,この件「子の親権者を父と定めて離婚」というのが一番わからない気がします。なんとなくこれが紛争の種というか…

ここで,例えば何らかの条件(例えば本来可能な慰謝料請求や財産分与をしないことなど)を父側が飲んだことを条件に,親権者の指定などがされていた,という事情があれば,親権者の変更などについてはまた違った結論になるのでしょうね。

あくまで事例判断ですが,木内裁判官の補足意見が至極まっとうなことを言っていて,そりゃあそうだよね,と思った次第でした。

 

 

冬来たりなば

こんばんわ。

弁護士の宮本です。

毎度言っているようですが,更新をサボってしまいました。

この間色々な所に出かけていたので書くことはあったのですが,なかなか更新できずに今日まで来てしまいました。

今日の更新も完全に趣味の話です。はい。

先日,冬が来る前に,と思い立って秋保の二口渓谷から大東岳に登ってきました。

大東岳の登山口は,二口ビジターセンターからすぐのところです。

当日は午後から崩れる予想だったのですが,まぁ大丈夫だろうと裏コース登山→表コース下山で登ることにしました。

裏コースは樋の沢避難小屋まで何度も渡渉するルートです。

 

歩き始めてすぐに,カモシカにも会いましたIMG_2289

人に慣れているのか全然逃げません。

ここから沢沿いに6kmほど歩いて避難小屋まで向かいます。途中は風が強いくらいで天気も持ってくれて,軽快な山行でした。

写真は雨滝と言う場所のようです

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2時間弱で避難小屋に到着。少し休憩してここから一気登っていきます。

避難小屋を出てすぐくらいからかなりの積雪。アイゼンを持ってこなかったことが非常に悔やまれます。

しかも折り悪く徐々に天候が悪化。他に登山者はいないようで,雪の上のトレースもありません。

やむなく開けた部分を歩いていくのですが,どうやら歩きやすいのは野生動物も同じようで,熊と鹿と思われる足跡をたどることになりました。

なんとかかんとか道を見失わず,雪の積もった斜面に手こずりながら,3時間とちょっとで頂上に到着しました。

しかし天候の悪化も手伝って頂上の見晴らしは0。おまけに風が強く雪も打ち付けてきたので,そうそうに退散することとしました。

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帰りは表コース。1合目から9合目までマイルストーンがあって落ち着いて下ることが出来ました。

3合目のあたりで登山道をロストしたことを除けば。

少し遅めに登り始めたのですが,なんとか暗くなる前に下ることが出来ました。

あとで登山ガイドを見たら,「はじめての人は経験者に案内してもらうべき」と記載されたのをみて,少し戦慄しています。

ともかくも無事に下山できて良かったです。

冬山は準備しすぎるくらいがちょうどいい,ということでしょうか。

お後がよろしいようで。

 

かいせい

こんばんは。弁護士の宮本です。

昨日,今日と出張に行っていました。夏の移動は暑さとの戦いですね。

さて,本日13日から改正刑法が施行されることとなりました。

刑法の改正は実に110年ぶりのことです。

今回改正のトピックとしては,

・ 強姦罪の客体を「女子)から「者」にして男性も含むこととした

・ 強姦の定義を見直し,「強制性交等」にした

・ 「監護者性交等」の類型を追加した

・ 告訴がなくても起訴ができるように(非親告罪)した

があげられます。性暴力の被害の大きさに鑑み,厳罰化の方向を向いているのは間違いありません。法定刑も上がってますね

他方で,以前から懸案であった「暴行・脅迫」を手段とする,という要件は残されました。処罰範囲に一定の限定を図ったものと思われます。

とは言え,こと性犯罪に関しては,何が暴行で何が脅迫なのかがわかりにくい事があります。この点は改正法の付帯決議の3でも言及されています。

また,同じように,性犯罪における「合意」と言うのも非常に不明確です。

無論,合意のもと(それが真意であることが前提ですが)での性交渉であれば,罪になることはありません。

しかし,どの時点で合意があったのかは非常に不明確ですし,拒否したとしても「嫌よ嫌よも好きのうち」のような考えを持ってしまうこともあります。

例えば,一人で自宅に遊びに来たことは性交渉に対する合意と捉えられるのでしょうか。

二人で食事することをOKしたら合意なんでしょうか。

この点については,2015年にイギリスの警察が作成した動画が非常に参考になります。

これは転載で日本語訳もついていますが,明確な合意の重要性をわかりやすく説明していると思います。

先日性暴力の被害者に対し,「本当に嫌なら逃げられるのではないか」と言ったネットで取り上げられていましたが,この問題(性暴力被害)についてはある種社会意識みたいなところがまだ根強いのではないか,と思っています。

この改正を機に,少しずつ変わっていけるようにしたいものですね。

それでは。

 

Revenge

こんばんは。弁護士の宮本です。

またまた更新をサボってしまい,そのうちにかなり季節は進んでしまいました。

去年に引き続き山の話ですが,去年のエントリでやりたいと言っていた船形山の登山に行ってまいりました。

泉ヶ岳スキー場の駐車場を朝早く出発し,北泉ヶ岳から三峰山,蛇ケ岳を通って船形山まで行くルートです。

朝早く出発しましたので,北泉ヶ岳の時点でもまだ6時過ぎ。一旦下って長倉尾根を進んでいきます。

途中,熊のものと思われる糞があり,少し緊張しましたが,幸運にも熊とは出会わずにすみました。

二つ目の山頂である三峰山でやっと行程の半分です。

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そこから少し進むと後白髪山(しらが,と書いてしらひげと読むらしいです。)との分岐を過ぎ,三つ目の蛇が岳に到着。

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蛇ケ岳からは,残雪の白と,若葉の緑のコントラストが美しい船形山の全景を見ることができます。

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しかしここからけっこうな藪漕ぎ。道は見失わないものの,前日の小雨で道がぬかるんでいるのも手伝って,相当歩きにくかったです。

まだ雪が残る斜面を見ながら千畳敷を登れば,船形山の山頂に着きます。

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山形側は曇っていましたが,宮城側は晴れて見晴らしがよく,太平洋から金華山まで一望することができました。

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仙台市内から見る泉ヶ岳と北泉ヶ岳もいいですが,後ろ(北西)からのアングルもなかなか良い感じです。

ただ,山頂はものすごく風が強く,とても体を休めるどころの話ではなかったです。カップラーメンを食べて,そそくさと復路に入ります。

帰りは同じ道を通って帰るのですが,北泉ヶ岳の登り返しでかなり疲労しました。

ただ,幸運にも熊と会わなかったばかりか天候にも恵まれ、終始暑くもなく寒くもない中を,快適に山行することができました。風は強く,藪が動く度にひやりとはしましたが…。

北泉ヶ岳を過ぎると好天も手伝って,多くの登山客とすれ違います。

結局,往復8時間のロングトレイルでした。

去年できなかったので,今年は天気も良く,何とかこなすことができました。今度は別のルートでも登ってみたいです。

単に登山の記録みたいになってしまいました。

次は法律の記事を載せたいと思います。

それでは。

 

 

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こんばんは。

弁護士の宮本です。

さて,深夜の更新で失礼致します。

このところ,家事事件で注目すべき裁判例が続いているので,今日も一つご紹介します。以下はニュースの引用です。
ーーーーーーーーーーーーーーー(以下引用)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

母親に親権認める逆転判決 面会交流「年100日」巡り 2017年1月26日16時17分(朝日新聞デジタル)

http://www.asahi.com/articles/ASK1V45LXK1VUTIL01G.html?iref

別居している夫婦が長女(9)の親権と離婚をめぐって争っている訴訟で、東京高裁(菊池洋一裁判長)は26日、「母親が長女と面会する機会を年100日 確保する」と提案した父親に親権を認めた一審・千葉家裁松戸支部の判決を変更 し、母親に親権を認めた。

一審判決によると、母親は2010年に長女を連れて実家に帰り、父親と別居。 父親は数回は長女と面会できたが、その後に夫婦間の対立が深まって母親が面会 を拒んだ。同支部は12年に審判で、保護者として長女を育てる「監護者」に母 親を指定した。

裁判では、定期的に子どもに合わせる「面会交流」の条件が争点に。父親は 「年100日」と提案し、母親は「月1回程度」と主張した。一審判決は「長女 が両親の愛情を受けて健全に成長するには、父親を親権者と指定するのが相当だ」 と判断し、長女を父親に引き渡すよう母親に命じていた。

離婚する夫婦の親権をめぐっては、子どもを主に養育していた母親が、離婚後 も親権者になる方が保護者として継続性があると判断するケースが多い。しかし 一審判決は、対立する母親に友好的で寛容な面会交流の案を示したことを理由に、 同居していない父親の方に親権を認めたことで注目された。

ーーーーーーーーーーーーーーー(引用終わり)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この判決,原審(第一審)は千葉家裁松戸支部なのですが,出たときにかなりのインパクトがありました。

基本的な考え方として,お子さんの親権をめぐって争いが起きている場合,特に小さいお子さんの場合には,「監護の継続性」が重視されているように感じています。

ニュースの中でも,「保護者として継続性があると判断」と書いていますよね。これはたぶんそのことなんだと思います。

ですので,事案に即して考えれば,それまでも面倒を見ている母親(これは母親だから,ということではないです)が親権者として指定されるケースのほうが多かったと思います。

ところが,千葉家裁松戸支部は,「自分が親権者になった場合には,年100回程度面会交流させる」と提案した父の主張を,対立する当事者に対し,緊密な親子関係の継続を目指して友好的な案を提示している,という理由で認め,お子さんの親権者を父としました。

いわゆるフレンドリー・ペアレント・ルールと言うやつです。

かなりラディカルな判断だと思いますが,予想通りに反発は強く,母が控訴し,東京高裁ではひっくり返りました。

高裁の理由はすごく明快で,「面会交流をどのように行っていくかは,親権者を定める際に考慮すべき事項の一つだけれども,面会交流だけでお子さんが育つわけでもないから,そのことだけで決めるわけではないし,ほかの事項より重要度が高いわけでもない」ということです。

その後に引き続いて①母の養育には問題がない,②監護能力は父と母で大きな差はない,③お子さんは母と暮らしたいと言っている,ということから,親権者を母と定めています。

実務の感覚としては,高裁の判断の方がしっくり来ます。

確かに面会交流を円滑に行うことは重要なのですが,これはあくまでも提案ですので,そのとおりに実施される保障は全くありません。有り体に言ってしまえば,いったん親権者が決まってしまえば,100日の面会交流をさせなくても親権者変更とはならないでしょう。

しかも,本件確か父と母の居住地が結構離れてて,片道2時間位かかるのだったと思います。

そうすると,面会交流を実施することが,果たしてお子さんのためになるのか,ということにも疑問符がつきますよね。3日に1度,往復で何時間もかけて移動するわけですから。

上告するかどうかはわかりませんが,今のところ,この方向でいいのだと思っています。

これが先例となれば,面会交流の提案に偏重した親権者決定になりかねませんからね。

 

タイトルはフレンドリーつながりでした。トウカイテイオーが勝ったジャパンカップに来ていた牝馬を連想された方は,僕と握手です。

それではまた。

 

宮本

 

 

それでも町は廻っている

こんばんは。

弁護士の宮本です。

さて,今日は興味深い裁判例が出ていたのでご紹介します。

====以下引用====

● 子供への面会拒否 元妻の再婚相手にも賠償命令 熊本地裁 毎日新聞2017年1月23日 07時45分(最終更新 1月23日 07時45分) http://mainichi.jp/articles/20170123/k00/00m/040/114000c

熊本県内の40代男性が離婚後に別居した長男(12)と会えないのは元妻と その再婚相手が拒んでいるためとして、2人を相手取って慰謝料300万円の損 害賠償を求めた訴訟で、熊本地裁(永田雄一裁判官)は、事前の調停で義務づけ られた面会の日程調整に関する連絡義務を怠ったとして再婚相手に元妻と連帯し て30万円を支払うよう命じた。元妻には70万円の支払いを命じた。離婚後に 別居した子供との面会交流拒否を巡り、元配偶者の再婚相手の賠償責任を認める のは異例。  判決は昨年12月27日付。判決によると、男性と元妻は2006年2月の離 婚調停で、親権がない男性と長男の月2回程度の面会交流に合意して離婚。当初 は面会できたが、元妻の再婚後の12年7月ごろ、男性に長男と会わないよう求 める連絡が元妻側からあった。  男性は長男と面会交流できるよう熊本家裁に調停を申し立て、14年1月、再 婚相手を連絡調整役として面会交流することで合意。しかし、元妻や再婚相手か ら連絡が滞り、日程を調整できないまま12年5月~15年10月の約3年5カ 月間、男性は長男と面会できなかった。元妻は、自身の体調不良や再婚相手と長 男との父子関係の確立のために面会できなかったと主張していた。  永田裁判官は「被告の主張は面会日程を調整する協議を拒否することを正当化 するものではない。長男が7歳から10歳に成長する大切な時期に交流できなか った原告の精神的苦痛は相当大きい」と指摘。元妻は日程を協議する義務を怠り、 再婚相手も連絡義務に違反したとして、いずれの賠償責任も認めた。  原告代理人の板井俊介弁護士は「再婚相手の賠償責任を認めた点で画期的だ。 面会交流が父親と子供の双方にとって利益があることを示した判決としても評価 できる」と話した。【柿崎誠】

====引用終わり====

確かに面会交流で直接の当事者ではない第三者に対して,損害賠償義務を認めるのはとても珍しいと思います。

この事件では,どうやら離婚時に父母がお子さんの面会交流を決めて,当初はうまく行っていたようです。

ところがお子さんを監護している母が再婚してから,なかなか父と子の面会交流がうまく行かなくなってきた,と。そこで,父は面会交流調停を申したてて,そこで一定の条項が決められています。この際,母の再婚相手も,「面会交流の連絡調整役」をやることを取り決めた,ということのようです。

しかし,その後も面会交流がうまくいかなかったことから,父は母と,母の再婚相手に対して損害賠償請求をして,それが一部認容された,ということのようですね。

再婚相手に賠償義務を負わせた理由としては,「調停で再婚相手が連絡調整役を務めることとなった」にも関わらず,連絡をしない,ということのようです。

でも,現在の日本では,このような私人の任意の協力に頼らなきゃいけない制度で面会交流が行われている,ということも事実です。

無論,FPICなどの団体は活動していますが,そもそも東北には準備室があるだけで,実際には利用できず,知人や家族などが連絡調整を行わないと,円滑な面会交流が実施できないこともあります。

その上,一度定めた場合には義務を守らないと,賠償義務まで負ってしまうことにもなりかねなくなってしまいました。

本件は報道記事から読み取れる事実からしか内容は把握できませんし,それ以外にも重要な事実があるのかもしれませんが,できれば私人の任意の協力を待つより,国家的な交流支援プロジェクトを進めるのが先だと思うのですがね。

しかし,最近の裁判所は,かなり原則実施論で突き進んでいる感じですよね。何かあった…おっと,誰か来たようです。それではまた。

 

 

Up To Date

こんばんわ。

弁護士の宮本です。

今日は,先日出ました養育費の新算定表についてお話致します。

日弁連は,昨年11月15日に養育費の算定に関する新しい基準,新算定表を公表しました。

詳細は,このpdfをご確認ください。

今までの算定表は,東京と大阪の家庭裁判所の研究チームが作成し,判例タイムズの1111号(2003年4月)に掲載して発表したものです。

この算定表については,①子どもの年齢と人数,②権利者の年収,③義務者の年収という3つがわかれば簡単に養育費や婚姻費用を算定できるもので,非常に簡便であることから広く使用されています。

現在,養育費や婚姻費用の調停では,100%に近いくらい,この算定表が持ち出され,議論が進められています。

無論,簡単に算定できることはとても優れているのですが,事案に即した算定にならないこともしばしばあります。

そこで,これまでの算定表を見直し,新しい算定基準を打ち出したのが,今回発表された「新算定表」です。

初めに申しておきますと,この新算定表で算定した場合,これまでの養育費や婚姻費用より,金額は高くなります。

これは見直した項目に由来しているのですが,まずは見直した項目とその理由についてご説明します。

1 まず,税金や社会保険料,年金保険料などを,最新のものに改めました。これまでの算定表(次からは「現算定表」と言います)は,2003年当時の税率で計算してましたし,そもそも社会保険料などは適当に定められていました。これを2016年版に改め,今後税率が改定した場合にも対応できるようにしました。

2 義務者の住居費を控除しないこととしました。現算定表では,可処分所得(養育費を計算する基礎となる金額=自由に使えるお金,と思ってください)を計算する際に,義務者の住居費を控除していましたが,お子さんの住居費と義務者の住居費は同じく可処分所得から分担させるべき,という観点から,義務者の住居費は可処分所得に含めることとなっています。

3 可処分所得を計算する際に控除する職業費の計算方法を見直しました。これまで,控除する職業費の費目は,世帯全員でかかる金額を控除していましたが,これは不公平だ,ということで,義務者にかかる金額のみを控除することとしました。何を言っているか少しわかりづらいと思いますので,少し解説します。これまで,可処分所得を計算する際,収入から一定額を「職業費」として控除していました。この職業費は,当時の家計調査年報から引っ張っていたのですが,そこに記載されていた金額は,世帯全員の金額だったんですね。例えば,4人世帯であれば,携帯代は月25,000円としましょうか。そうすると,現算定表では,この25,000円がまるまる職業費として控除されていました。ただ,これは4人だから25,000円なので,義務者1人であれば25,000円もかからないですよね。そこで,働いている人の人数分の金額を計算して,その金額のみを控除するようにしました。

その他にも見直した点はあるのですが,大きな変更点はこの3つです。

今後,すぐには算定基準は変わらないと思いますが,少なくとも税率などは最新のものを用いるべきであると思います。

これまでの算定表も金科玉条ではなく,時が進むに連れて,少しずつ変わっていくべきものなのでしょう。

しかし変えるときというのは結構反対があったりするのですよね。守るべきものは守り,変えるべきものは変える。そうありたいものです。

 

ではでは。

 

 

青い山脈

こんばんは。

弁護士の宮本です。

2017年初めのエントリになります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて,私の数少ない趣味の一つに山歩きがあるのですが,昨年11月29日に,山岳救助に関する最高裁の決定が出ていましたので,少しご紹介をしておきます。

この決定は上告棄却で,高裁の判決が確定してます。そして,高裁では,山岳救助に当たった北海道警察の過失を認めた上で,約1800万円の損害賠償を認めています。

無論,山を歩いたことがある方はお分かりになると思うのですが,基本,登山は自己責任で行うものであり,遭難した場合に救助隊の責任が認められることは殆どないのだと思います。

そうすると,この決定(もしくは損害賠償を認容した高裁判決)は,これからの山岳救助のあり方に一石を投じるようなものなのでしょうか。

気になって地裁判決を確認したのですが,少し事件の性質というものが見えてくるような気がします。

事故自体は,平成21年1月31日から2月1日にかけて,北海道の積丹岳で起こりました。

スノーボードのため仲間と山に入ったAさんが,悪天候のため山頂でビバークし,救助要請を行います。その後,北海道警察がAさんを発見し,ストレッチャーに乗せて下山させようとしますが,雪庇を踏み抜いたり,ストレッチャーが崖下に落ちてしまったり,と幾つかの事故が重なって,結果的に,Aさんを救助することはできなかった事故です。

地裁では,概ね次のような判断がされています。

1 救助隊は事故の二日前に当該山で訓練を行っていて,山頂付近には雪庇が有り,雪庇ができている場所は崖であることが分かっていながら,細心の注意を払って雪庇部分を避けるようなルート選択をしなかった

2 Aさんが発見されたときには,カフェオレを飲むことができるなど,自力で足を動かせる程度の体力は残っていた。

3 滑落後,Aさんの容態は悪化しており,凍傷や低体温症が進行していた。

1について,地裁は国家賠償法上違法であるとした上で,2,3からすると,きちんとした救助を行っていれば,Aさんを救助することができたとして,請求を認めています。

もっとも,単独で山頂まで登山を敢行しビバークに適さない山頂でビバークをしたことは,事故を誘発したものでして,8割の過失相殺を認めています。

このように地裁は北海道警察の責任を認めていますが,本件では,まず,一度は北海道警察がAさんを発見し,保護していると言う事情があります。

また,その後,直近で訓練をし,特性についてもわかっているはずであろう雪庇部分を避けることなく(実際には避けているのでしょうが,十分に注意を払っていないままに,と言う意味です)進行し,結果,雪庇を踏み抜いてしまっています。

確かに山岳救助を行う方は,自らも危険に晒しながら業務を行っているのであって,それ自体はものすごく素晴らしいことなのだと思います。

だからこそ,救助にはきちんとした対策を取られるべきなのであり,本件では,残念ながらその対策が欠けていた,ということなのでしょう。

ですので,この判断は,山岳救助全体に波及するものではなく,あくまでもレアケースと見るのが妥当な気がしています。

無雪期登山でも息が上がっている自分も,肝に銘じておかなければなりませんね。

それではまた。

 

宮本

 

 

夏の山

こんばんは。弁護士の宮本です。

台風が通過して穏やかになってきた仙台です。

先日,天気が良かったので山に登ってきました。

山と言っても,仙台の近郊にある泉ヶ岳ですが。当会の山岳部が同じ頃奥穂高岳に登っていたのとは雲泥の差です。

とは言え,1000メートルはある山で,気軽に登れるという点ではとても良いところです。

これは出発地点の駐車場からの景色。

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気温30度を超える昼下がりに登り始めました。

スタート地点は500メートルちょっとの標高ですが,そのまま1200メートル超の北泉ヶ岳に登ります。

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1時間半ほどで山頂に着きました。少し前の雨で途中ぬかるんでいましたが,スムーズに登ることが出来ました。

そのまま,一旦北泉ヶ岳を下り,鞍部を通って泉ヶ岳へ登り返します。

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30分ほどで泉ヶ岳の山頂につきました。午後に登りましたので,途中すれ違う人は殆ど無く,静かな山行でした。

写真は泉ヶ岳山頂付近から北泉ヶ岳とその奥の三峰山や船形山です。頂上はトンボが飛んだり,すすきが育っていたりと,一足早い秋の気配を感じることが出来ました。

頂上で少し休んだ後,かもしかコースを通って下山します。

途中,「岡沼」と言う窪地に寄ってみたところ,やはり雨の影響か,本当に沼ができていました。

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全体で2時間45分くらいでしたが,夏から秋への移り変わりを楽しむことが出来,とても趣を感じた一日でした。

時間があれば,船形山までのピストンをしたいのですが,まずは体力をつけるのが先決ですね。

それでは。

 

宮本

まちのせんもんか

こんばんわ。

弁護士の宮本です。

さて,今日も判例紹介です。

今日は最一小判平成28年6月28日【平26(受)1813号 ・ 平26(受)1814号】です。

債務整理を依頼された認定司法書士が、裁判外の和解について代理することができない場合についての判断です。

最高裁の判例要旨に,「…た事例」との記載がある場合があるのですが,この場合は原則事例判断,つまり,「本件のような事情のもとではこうですよ」という判断に過ぎません。

同じ事案であっても,事情が異なれば違う判断になることも十分に予想されます。昨日ご紹介した判例はまさに事例判断で,このような事情のもとでは,飲み会帰りの事故は労災だ,と言ってますね。

さてさて,そこで今回の判例を見てみると,「…できない場合」と言う要旨になってます。

つまり事例判断ではなく,認定司法書士が裁判外の和解ができないのはこういう時です,と見解を出したことになります。

それでは詳しく見てみます。

司法書士のうち,一定の研修と試験を受けた方は,法務大臣の認定を受け(認定司法書士),簡易裁判所における代理を行うことができます。

ちなみにこの研修は私の地元でやってました。今もやっているのでしょうか。

簡易裁判所は訴額140万円以下の事件を扱うものですので,認定司法書士が代理人として扱えるのも,140万円以下の事件,ということになりますね。

それでは,この「140万円以下」の事件とはどういうものを指すのでしょうか。

認定司法書士が数多く手掛ける事件の一つに「債務整理」やそれに伴う「過払金返還請求事件」があります。

利息制限法の制限利率を超える利率で取引をしていた場合で,利息制限法の制限利率で引き直すと,払い過ぎた利息の返還を求めることができる,というものです。

このような過払金返還請求の場合,事件に着手した時は高い利率で計算していますので,金融会社Aには債務が残っている(例えば100万円)事があります。

Aとの取引を制限利率に引き直して計算すると,債務はなくなり,反対に140万円の過払い金が発生していたとしましょう。

そうすると,依頼者が得る経済的利益,というのはいくらになるのでしょうか。

①単に過払い金140万円を請求するだけですから,140万円でしょうか。

それとも,②-100万円から+140万円になりましたから,240万円でしょうか。

また,Aだけではなく,別の金融会社Bとも同じ状況だったとして,経済的利益は③合算して280万円になるのでしょうか,④480万円になるのでしょうか。

最高裁は,これを「当該債務整理の対象となる個別の債権の価額」によって決めるべき,としました。つまり①です。

ただ 裏を返せば,1000万円の債務が有り,交渉して900万円の返済ですみました(=経済的利益は1000-900万円で100万円)とは言えないということになりますね。

この問題は弁護士と司法書士の職域にも関わる問題で,以前からかなり議論になっていたのですが,最高裁として一定の判断を示した結果になります。

私はむしろこの後起こりうることの方がえげつないのではないか,とも思っているのですが,またそれは別の機会にお話することにしたいと思います。

それでは。